日本から海外へ展開するとき、初期の認知獲得施策はどう選ぶべきか?
前回の記事では、観光スポット付近の店舗が、訪日外国人に見つけてもらい、入店・購入・口コミ・帰国後の再購入までつなげるための導線について考えました。
また、その前の記事では、Shopifyを使って海外向けECを作るために必要な要素を整理しました。
ただ、海外向けの商品ページやECサイトを用意しても、そもそも海外の顧客に存在を知ってもらえなければ、売上にはつながりません。
そこで出てくるのが、認知獲得の問題です。
海外SEOを始めるべきなのか。
Web広告を出すべきなのか。
展示会に出展するべきなのか。
インフルエンサーに紹介してもらうべきなのか。
現地メディアへの掲載を狙うべきなのか。
アフィリエイトで販売パートナーを増やすべきなのか。
どれも有力な施策に見えますが、すべての企業に向いている万能な施策はありません。
今回は、日本企業が海外展開を始めるとき、初期の認知獲得施策をどのような基準で選ぶべきかを考えてみます。
- 結論:施策名から選ぶのではなく、顧客の購買行動から逆算する
- なぜ初期の認知獲得施策選びが重要なのか
- 施策を選ぶ前に整理するべき8つの問い
- 主な認知獲得施策を比較する
- 海外SEO・コンテンツマーケティング
- Web広告
- オフラインイベント・展示会
- インフルエンサー・クリエイター施策
- メディア掲載・PR
- アフィリエイト
- 施策ごとの比較表
- 商材タイプ別に、最初に選びやすい施策
- 海外展開フェーズ別の施策の順番
- 初期の施策選定でよくある失敗
- 最初の施策を選ぶ簡易スコアリング
- 中小企業が小さく始める具体策
- 施策を組み合わせる順番
- マーケティング視点でのまとめ
- 今後の考察:最初の施策は「売る手段」より「学ぶ手段」として選ぶ
- まとめ:最初から全部やらず、顧客理解につながる1〜2施策から始める
結論:施策名から選ぶのではなく、顧客の購買行動から逆算する
最初に結論を言うと、海外展開における初期の認知獲得施策に、すべての企業に共通する正解はありません。
SEOが向いている企業もあれば、最初は広告で反応を確かめた方がよい企業もあります。
海外BtoBの専門商材であれば、展示会や直接営業の方が、顧客の反応を早く確認できるかもしれません。
美容、食品、雑貨のように、使用感や見た目が購買に影響する商品では、インフルエンサーやSNS動画が有効な可能性があります。
施策を選ぶときに見るべきなのは、次のような条件です。
- 誰に売るのか
- 顧客はどこで情報を探すのか
- 商品を理解するために、どのくらい説明が必要か
- 購入までの検討期間はどのくらいか
- 商品単価と顧客生涯価値はどのくらいか
- すでに検索需要があるのか、需要自体を作る必要があるのか
- どのくらいの予算と期間で検証できるのか
- 何をもって成功とするのか
重要なのは、「SEOか広告か」という施策名から考え始めることではありません。
誰に、どんな価値を、どの接点で伝えるのかを整理し、その顧客行動に合う施策を選ぶことが重要です。
最初から多くの施策に手を広げるより、まずは1〜2施策に絞り、反応を見ながら次の施策を組み合わせる方が現実的だと考えられます。
なぜ初期の認知獲得施策選びが重要なのか
日本国内で知名度や販売実績がある企業でも、海外では同じように認知されているとは限りません。
海外顧客から見れば、「知らない国の、知らない企業の、知らない商品」である可能性があります。
そのため、日本で売れている理由をそのまま翻訳するだけでは不十分です。
同じ商品でも、国や顧客によって知るきっかけが違います。
例えば、日本の包丁を買う人でも、料理好きの一般消費者はYouTubeやInstagramで商品を知るかもしれません。一方、海外のレストランや卸売会社は、業界展示会や専門メディア、Google検索を通じて情報を集める可能性があります。
また、施策ごとに役割が違います。
Web広告は短期間で反応を確認しやすい一方、広告を止めると流入も止まりやすい傾向があります。
SEOは成果が出るまで時間がかかりやすい一方、検索され続けるコンテンツを蓄積できる可能性があります。
展示会は費用や準備工数がかかりますが、見込み顧客の反応や質問を直接確認できます。
PRは第三者からの信頼獲得に向いていますが、掲載されたからといって、そのまま購入につながるとは限りません。
初期フェーズで複数施策を同時に始めすぎると、どの顧客や訴求が効いたのかがわからなくなります。
そのため、最初から売上最大化だけを目指すのではなく、まずは次のような学びを得ることが重要です。
- どの顧客層が反応するのか
- どの価値が興味を持たれるのか
- どの説明で商品の魅力が伝わるのか
- どの価格帯なら検討されるのか
- 購入前にどんな不安があるのか
初期施策は、売るための活動であると同時に、海外顧客を理解するための調査でもあります。
施策を選ぶ前に整理するべき8つの問い
1.誰に売るのか
最初に決めるべきなのは、対象顧客です。
BtoBなのかBtoCなのかだけでも、適した施策は大きく変わります。
BtoBであれば、対象業界、企業規模、部署、担当者の役職、意思決定者まで考えます。
例えば製造設備を売る場合、実際に情報を探す技術担当者と、予算を決める経営者では、必要な情報が違うかもしれません。
BtoCであれば、国、年齢、生活習慣、趣味、悩み、価格感度などを考えます。
「アメリカ向け」だけでは広すぎます。
「アメリカの日本文化に関心がある20〜40代」や「敏感肌向け商品を探している美容関心層」のように、少し具体的にした方が施策を選びやすくなります。
2.顧客はどこで情報を探すのか
次に、その顧客が普段どこで情報を集めているかを考えます。
- Google検索
- InstagramやTikTok
- YouTube
- Amazonなどのマーケットプレイス
- 業界メディア
- 展示会
- RedditやFacebookグループ
- 専門家やインフルエンサー
- 友人や取引先からの紹介
例えば、業務用の部品を探している企業担当者と、日本のコスメを探している一般消費者では、接触すべき場所が違います。
自社が使いやすい媒体ではなく、顧客がすでにいる場所から考える必要があります。
3.商品はどのくらい説明が必要か
見れば価値が伝わる商品なのか、説明しなければ理解されない商品なのかも重要です。
かわいい雑貨や食べ物は、写真や短い動画だけでも関心を持ってもらえる可能性があります。
一方、専門的なSaaS、素材、設備、法人向けサービスは、導入効果、比較、仕様、事例、費用対効果まで説明する必要があります。
説明量が多い商品は、短い広告だけで購入まで進めるのが難しい場合があります。
広告で興味を持ってもらい、詳しい商品ページ、記事、資料、商談につなげる設計が必要です。
4.購入までの検討期間はどれくらいか
数千円のお菓子や雑貨であれば、見つけた当日に購入される可能性があります。
一方、高級工芸品、家具、設備、SaaS、法人向けサービスでは、数週間から数か月の比較検討が必要になるかもしれません。
複数の意思決定者が関わるBtoB商材では、最初の認知から契約まで長い時間がかかります。
この場合、広告のクリックからすぐに売上が発生しなくても、資料請求、問い合わせ、商談、サンプル依頼などを中間指標として見る必要があります。
5.商品単価とLTVはどれくらいか
低単価の商品では、一人の顧客を獲得するために高い広告費を使うと採算が合いません。
ただし、食品、化粧品、日用品、サブスクのように、継続購入が見込める商品では、初回購入だけでなくLTVで考えられます。
高単価商品や大型BtoB契約は、1件の受注価値が大きいため、展示会や個別営業などに一定の費用をかけられる可能性があります。
施策費用は、商品価格だけではなく、粗利、継続率、受注確率まで含めて考える必要があります。
6.既存需要を取るのか、需要を作るのか
すでに顧客が商品名や課題を検索している場合は、SEOや検索広告と相性があります。
例えば「Japanese kitchen knife」「matcha powder」「manufacturing inspection software」のように、顧客が能動的に探しているなら、検索接点を作る意味があります。
一方、まだカテゴリ自体が知られていない新商品は、顧客が検索する言葉を持っていません。
その場合、SEOだけで認知を広げるのは難しく、動画、SNS、PR、インフルエンサー、展示会などを通じて、「これは何か」「どんな問題を解決するのか」を理解してもらう必要があります。
7.どのくらいの予算と期間で検証できるのか
予算だけでなく、成果を待てる期間も重要です。
数週間で反応を確認したいなら、広告や営業、顧客インタビューが向いています。
半年以上かけて集客資産を作るなら、SEOやコンテンツマーケティングも選択肢になります。
また、運用する人材が社内にいるかも確認します。
SNS投稿、記事制作、広告改善、展示会後の営業などは、始めるだけでなく継続運用が必要です。
8.何をもって成功とするのか
初期施策を始める前に、評価指標を決めておく必要があります。
- リーチや動画再生
- Webサイト訪問
- メール登録
- 問い合わせ
- 資料請求
- サンプル依頼
- 購入
- 商談
- 代理店候補の獲得
認知施策なのに、短期間の売上だけで判断すると、本来の役割を見誤ることがあります。
逆に、再生数やアクセス数だけ増えても、見込み顧客の行動につながっていなければ、事業成果とは言いにくいでしょう。
主な認知獲得施策を比較する
海外SEO・コンテンツマーケティング
海外SEOは、海外顧客がGoogleなどで検索する言葉に合わせて、商品ページや記事を作る施策です。
検索需要がすでに存在する商品や課題と相性があります。
例えば、選び方、使い方、比較、課題解決、導入事例などの情報を探す顧客に対して、継続的に接点を作れます。
特にBtoB、専門商材、高単価商品では、検索流入だけでなく、企業の専門性や信頼性を伝える役割も期待できます。
一方、成果が出るまで時間がかかりやすく、短期間の需要検証には向かない場合があります。
また、まだ検索されていない新カテゴリの商品では、SEOだけで認知を作るのは難しいでしょう。
初期フェーズでは、いきなり大量の記事を作るより、検索需要、競合、顧客の質問を調べたうえで、重要な商品ページや記事を数本作るところから始めるのが現実的です。
Web広告
Web広告には、Google広告、Meta広告、TikTok広告、LinkedIn広告などがあります。
最大の利点は、短期間で顧客の反応を検証しやすいことです。
国、顧客層、訴求、画像、動画、価格、LPなどを分けてテストできます。
検索広告は、すでに商品や解決策を探している人と接触しやすい施策です。
一方、SNS広告は、まだ自社商品を知らない顧客に対して、興味関心や属性をもとに情報を届ける役割があります。
BtoBの場合は、業種や職種などを考慮できる媒体が候補になることもあります。
ただし、広告を止めると流入も止まりやすく、LPや商品ページが弱い状態で配信すると、費用だけが消化される可能性があります。
広告は、売上を作る施策であると同時に、顧客像や訴求を検証する調査手段として使うと有効です。
オフラインイベント・展示会
展示会や商談会は、海外BtoB、代理店開拓、専門商材、高単価商材と相性があります。
短期間に複数の見込み顧客と会い、商品を見せながら直接反応を確認できます。
どの説明で興味を持たれるのか。
どんな質問をされるのか。
誰が決裁に関わるのか。
どの価格が受け入れられそうか。
こうした情報を得られる点は、オンライン施策にはない強みです。
一方、出展費、渡航費、装飾費、人件費、サンプル準備などが必要です。
出展しただけで成果が出るわけではなく、事前の商談設定と、終了後の営業フォローが重要です。
初めての場合は、いきなり大型展示会に出展せず、まず視察する、国内の海外バイヤー向け商談会に参加する、小規模ブースで反応を見る、といった始め方も考えられます。
インフルエンサー・クリエイター施策
インフルエンサー施策は、美容、食品、ファッション、日用品、観光、体験、ホビーなど、見た目や使用感が重要な商品と相性があります。
企業が説明するよりも、実際に使った第三者が感想や利用シーンを見せる方が、商品の理解や信頼につながる場合があります。
ここで重要なのは、フォロワー数だけで選ばないことです。
小規模でも、特定の趣味や悩みに強いマイクロインフルエンサーの方が、自社商品に合う顧客へ届く可能性があります。
見るべきなのは、フォロワー属性、普段の投稿内容、コメントの質、過去のPR投稿、商品との相性です。
また、再生数と売上は別です。
認知、商品理解、UGC制作、広告素材の獲得など、施策の目的を明確にする必要があります。
メディア掲載・PR
メディア掲載やPRは、業界メディア、ニュースサイト、専門ブログ、地域メディアなどに、企業や商品を取り上げてもらう施策です。
第三者から紹介されることで、信頼材料になる可能性があります。
特に、新しい技術、地域性のある商品、社会課題に関係する事業、独自データ、創業ストーリーなどは、記事の題材になりやすいでしょう。
ただし、広告と違って必ず掲載されるわけではありません。
また、掲載されても、購入ページや問い合わせ導線がなければ、売上にはつながりにくいです。
PRは単発の露出で終わらせず、掲載実績を自社サイト、営業資料、広告、展示会資料などで再利用することで価値が高まります。
アフィリエイト
アフィリエイトは、購入や問い合わせなどの成果に応じて報酬を支払い、比較サイト、ブロガー、メディア、クリエイターなどに商品を紹介してもらう仕組みです。
EC、ソフトウェア、教育、旅行、金融、サブスクなどと相性があります。
自社だけでは届きにくいニッチな顧客層へ接点を作れる可能性があります。
一方、ブランド認知がなく、商品ページや販売実績も整っていない段階では、紹介する側に選ばれにくい場合があります。
利益率、報酬率、成果計測、返品時の扱い、広告表現の管理なども必要です。
そのため、最初から主軸にするより、商品ページ、購入導線、レビュー、計測環境を整えた後に拡大する方が向いているケースもあります。
施策ごとの比較表
| 施策 | 成果の速さ | 費用感 | 向いている商材 | 得意な役割 | 初期検証 | 資産性 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| SEO | 遅め | 制作・運用費 | 検索需要のある商品、BtoB、専門商材 | 継続流入、信頼形成 | △ | 高い | 成果まで時間がかかる |
| Web広告 | 速い | 広告費+制作費 | 幅広い商材 | 訴求・顧客仮説の検証 | ◎ | 低め | LPが弱いと費用を失いやすい |
| 展示会 | 開催期間中は速い | 比較的高い | BtoB、高単価、代理店開拓 | 商談、顧客理解 | ○ | 中程度 | 事前集客と事後営業が必要 |
| インフルエンサー | 比較的速い | 規模により変動 | 美容、食品、観光、雑貨 | 認知、使用理解、UGC | ○ | 素材次第 | フォロワー数だけで選ばない |
| メディア・PR | 不確定 | 企画・広報費 | 新規性、技術、地域商品 | 信頼形成、話題化 | △ | 高い | 掲載を直接売上と考えない |
| アフィリエイト | 中程度 | 成果報酬+運用費 | EC、SaaS、教育、旅行 | 販売接点の拡大 | △ | 中程度 | 初期は協力者を集めにくい |
※費用や期間は国、業界、媒体、商材によって大きく異なります。表は施策比較のための一般的な目安です。
商材タイプ別に、最初に選びやすい施策
低単価のBtoC商品
食品、コスメ、雑貨、文房具のような商品では、SNS広告、インフルエンサー、UGC、マーケットプレイスとの相性を考えやすいです。
短い動画や画像で魅力が伝わるなら、まず小さくSNSで反応を確認し、購入ページへ誘導します。
反応の良い使い方や悩みが見つかった後に、SEO記事やアフィリエイトを加える流れが考えられます。
高単価のBtoC商品
工芸品、家具、ジュエリー、高級美容商品では、認知だけでなく信頼形成が重要です。
ブランドストーリー、製作背景、レビュー、PR、インフルエンサー、検索広告、リターゲティングなどを組み合わせます。
最初から購入だけを求めず、動画視聴、商品ページ閲覧、メール登録などの中間行動を見る必要があります。
海外BtoB商材
部品、素材、設備、SaaS、専門サービスでは、展示会、検索広告、SEO、LinkedIn、業界メディア、直接営業が候補になります。
BtoBでは顧客数が限られることも多いため、不特定多数への認知よりも、対象企業や担当者へ正確に届くことが重要です。
少数の商談からでも、顧客の質問や導入条件を深く学べます。
新しいカテゴリの商品
新カテゴリは検索需要が少なく、SEOだけでは認知されにくい可能性があります。
SNS動画、PR、インフルエンサー、イベントなどを通じて、商品の使い方や必要性を理解してもらいます。
初期は売上だけでなく、「顧客がどんな言葉で商品を理解したか」を集めることが重要です。
訪日体験・観光・店舗
観光や店舗では、Google Map、旅行メディア、SNS、口コミ、インフルエンサー、ホテルや観光案内所との連携が重要です。
訪日中に体験してもらった後は、SNSフォローや越境ECにつなげることで、帰国後の接点を作れます。
ニッチな趣味・コミュニティ商材
キャンプ、文房具、コーヒー、ゲーム、特定スポーツなどでは、Reddit、Facebookグループ、Discord、YouTube、専門メディア、マイクロインフルエンサーなどが候補になります。
大規模な広告よりも、熱量の高い小さなコミュニティへ入る方が効果的な場合があります。
海外展開フェーズ別の施策の順番
フェーズ1:需要仮説を検証する
最初は、売上拡大よりも顧客理解を優先します。
- 検索需要を調べる
- 海外レビューを読む
- 競合の商品ページを確認する
- SNS投稿を試す
- 少額広告で訴求を比較する
- 顧客インタビューを行う
- 展示会や商談会を視察する
- メール登録や問い合わせを獲得する
ここで見るのは、誰が、何に、どのくらい反応したかです。
フェーズ2:反応が良い訴求を伸ばす
反応の良い顧客層や訴求が見えたら、投資を少し増やします。
- LPや商品ページを改善する
- 広告予算を広げる
- インフルエンサーへ依頼する
- 営業活動を増やす
- PR企画を作る
- 顧客の質問をコンテンツ化する
- レビューや導入事例を増やす
この段階では、単純な認知量より、商談、購入、継続率などを見ます。
フェーズ3:継続的な集客資産を作る
勝ち筋が見えてきたら、広告以外の継続接点を作ります。
- SEO
- オウンドメディア
- アフィリエイト
- メールマーケティング
- CRM
- コミュニティ
- 代理店や販売パートナー
- 顧客紹介
短期施策だけに依存せず、長期的に認知と信頼が積み上がる仕組みを作ります。
初期の施策選定でよくある失敗
代表的な失敗は、流行している施策をそのまま始めることです。
「TikTokが伸びているから動画」「海外SEOが重要だから記事」「競合が展示会に出ているから出展」と考えても、自社顧客に合っていなければ成果は出にくいでしょう。
また、複数施策を同時に広げすぎると、改善点がわからなくなります。
広告を出している。SEO記事も作っている。展示会にも出た。インフルエンサーにも依頼した。
しかし、誰に、どの価値が刺さったのかがわからない。
これでは、次の投資判断ができません。
ほかにも、次のような失敗があります。
- LPや商品ページが弱いまま広告を出す
- 展示会で名刺を集めて終わる
- インフルエンサーをフォロワー数だけで選ぶ
- PR掲載を直接売上施策だと考える
- アフィリエイトの報酬や計測を整えず始める
- SEOと広告を同じ期間で評価する
- 売れない理由を分析せず、施策だけを変更する
施策が失敗したように見えても、実際には対象顧客、訴求、価格、商品ページ、物流など、別の部分に問題があるかもしれません。
最初の施策を選ぶ簡易スコアリング
候補施策を、次の項目で1〜5点に評価すると整理しやすくなります。
- ターゲット顧客に届きやすいか
- 商品価値を伝えやすいか
- 小さく検証できるか
- 反応を計測しやすいか
- 予算に合っているか
- 成果までの期間を許容できるか
- 社内で運用できるか
- 他施策へ転用できる資産が残るか
- 見込み顧客から学びを得られるか
例えば、海外BtoBの設備メーカーであれば、展示会は顧客接触と商品説明の点数が高くなるかもしれません。
一方、低単価の文房具では、SNS広告やクリエイター施策の方が、小さく検証しやすい可能性があります。
この点数は絶対的な答えではありません。
施策を比較し、「なぜこれから始めるのか」を社内で言語化するための道具です。
中小企業が小さく始める具体策
最初の海外マーケティングは、次のような規模からでも始められます。
1国・1顧客層・1商品に絞る
何を検証するか:特定市場と商品の相性
始め方:対象国と代表商品を一つずつ決める
指標:アクセス、問い合わせ、購入、顧客の反応
英語LPを1枚作る
何を検証するか:価値提案と商品説明
始め方:代表商品の特徴、価格、FAQ、問い合わせを1ページにまとめる
指標:滞在時間、クリック、問い合わせ、離脱箇所
少額広告を出す
何を検証するか:顧客層、コピー、画像、需要
始め方:2〜3種類の訴求を比較する
指標:クリック率、登録率、問い合わせ率、購入率
SNS投稿を10本試す
何を検証するか:反応されるテーマや見せ方
始め方:使用方法、比較、裏側、ストーリーなどを投稿する
指標:保存、コメント、視聴維持、プロフィール訪問
小規模クリエイターに相談する
何を検証するか:第三者が伝えたときの反応
始め方:商品分野に合う3〜5名へ連絡する
指標:動画視聴、コメント、サイト訪問、クーポン利用
展示会を視察する
何を検証するか:顧客、競合、商談の実態
始め方:出展前に来場者として参加する
指標:商談候補、競合数、顧客の質問、必要な準備
海外レビューを調べる
何を検証するか:満足、不満、購入理由
始め方:競合商品を数社選び、評価の高いレビューと低いレビューを読む
指標:頻出する評価、不満、比較軸、使われる言葉
施策を組み合わせる順番
複数施策は、同時に並べるのではなく、前の施策で得た学びを次へ渡すと効果的です。
例えば、少額広告で反応の良い訴求を見つけ、そのテーマをSEO記事や商品ページに展開します。
展示会で繰り返し聞かれた質問は、FAQや営業資料、ホワイトペーパーに反映できます。
インフルエンサーが作った使用動画は、許諾を得たうえで商品ページや広告に活用できる場合があります。
PR掲載は、広告や営業資料の信頼材料として再利用できます。
SEOやレビューから見つけた顧客の悩みは、広告コピーや新商品企画に反映できます。
アフィリエイトは、商品ページ、計測、報酬条件、レビューがある程度整ってから広げる方が、紹介者にも協力してもらいやすくなるでしょう。
つまり、施策はバラバラに実行するのではなく、
検証する → 学ぶ → 改善する → 次の施策へ転用する
という流れで組み合わせることが重要です。
マーケティング視点でのまとめ
初期の認知獲得施策を選ぶときは、次の5つに整理できます。
誰に知ってもらうのか
国だけでなく、業種、役職、悩み、趣味、生活習慣まで具体化します。
どこで接触できるのか
検索、SNS、展示会、専門メディア、コミュニティ、マーケットプレイスなど、顧客がすでにいる場所を探します。
何を伝えるのか
機能だけでなく、どんな不満を解決し、どんな変化を生むのかを整理します。
どの施策で小さく検証するのか
最初は1〜2施策に絞り、顧客と訴求の反応を確認します。
反応を次にどう活かすのか
広告、レビュー、展示会、SNSから得た学びを、商品ページ、SEO、営業資料、次の施策に反映します。
今後の考察:最初の施策は「売る手段」より「学ぶ手段」として選ぶ
海外展開における認知獲得施策には、万能な正解はありません。
同じ施策でも、商材、国、顧客、価格、検討期間によって成果は変わります。
初期フェーズでは、売上だけを基準にするのではなく、顧客理解と訴求検証を重視する必要があります。
誰が反応したのか。
何に興味を持ったのか。
どこで不安を感じたのか。
なぜ買わなかったのか。
どんな説明なら理解されたのか。
こうした学びが蓄積されると、広告、SEO、展示会、PR、商品ページ、営業活動の精度が上がります。
短期間で反応を確認する広告や営業と、中長期で集客資産を作るSEOやコンテンツを組み合わせることで、効率と資産性の両立も考えられます。
世界市場探索ラボでは、今後も海外SEO、広告、展示会、PR、インフルエンサー、EC導線などを観察しながら、日本企業が海外で見つけてもらう方法を考えていきたいです。
まとめ:最初から全部やらず、顧客理解につながる1〜2施策から始める
今回は、「日本から海外へ展開するとき、初期の認知獲得施策はどう選ぶべきか?」というテーマで考えてみました。
海外の認知獲得には、SEO、Web広告、展示会、インフルエンサー、メディア掲載・PR、アフィリエイトなどがあります。
しかし、重要なのは施策名ではありません。
- 顧客はどこで情報を探すのか
- 商品はどのくらい説明が必要か
- 購入までどのくらいかかるのか
- 商品単価とLTVはどのくらいか
- 既存需要を取るのか、需要を作るのか
- どの程度の予算と期間で検証できるのか
これらを整理したうえで、自社に合う施策を選ぶ必要があります。
初期段階では、複数施策を同時に広げすぎず、1〜2施策に絞る方が、顧客と訴求の反応を学びやすくなります。
短期施策と中長期施策も、分けて考えるべきです。
広告や営業で反応を検証し、反応の良いテーマをSEOやコンテンツとして蓄積する。
展示会やインフルエンサー施策で得た顧客の声を、商品ページや広告に反映する。
このように、施策を単発で終わらせず、次の施策へ学びを渡していくことが、海外展開の初期には重要だと思います。
次回は、今回の内容からもう一段掘り下げて、「海外展開の初期広告は、どの媒体から試すべきか?」または「海外SEOはどんな企業に向いているのか?」について考えてみたいと思います。
参考情報:
・JETRO「海外展開支援・海外販路開拓関連情報」
・JETRO「展示会・商談会への出展支援」
・Google Ads 公式ヘルプ
・Meta for Business
・LinkedIn Marketing Solutions
・各海外展示会・見本市の公式情報
・各アフィリエイトネットワーク、PRプラットフォームの公式情報

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